コロナ禍にいっきに世のデジタル化は進み、ドイツにいても日本の情報が簡単に手に入るようになりました。最近では私も専らアマゾンのKindleや楽天のKoboを利用し、デジタルの本ばかり読むようになりました。日本のテレビもTVerを利用すれば、リアルタイムで見ることができます。
その一方で、紙の絵本を読んであげることも大切。動く映像で場面を描く動画では、子ども達の想像力を育てることはできません。つまり、読解力が育たないのです。絵本の絵を見て、子ども達が自分の頭の中で場面を想像し、登場人物になりきってお話の世界を体験することが、読解力を育てます。
小学校に入学してから、「国語ができない」、「算数の文章題の意味が分からない」といったことにならないよう、幼児期にたくさん本を読み聞かせ、想像力=読解力を育ててあげましょう。また、絵本の読み聞かせから読書習慣を身につけさせることも大切です。
この記事では、東大生ママのruameiが幼児期にどのように「絵本の読み聞かせ」を取り入れていたかを紹介します。「幼児期に実践した5つのこと」第2弾!
毎日本を読み聞かせる
海外に住んでいると、どうしても日本語環境が希薄になります。日本語環境を整えるためにも絵本の読み聞かせは必須でした。幸い、自身が本を読むことが大好きだったので、子ども達への読み聞かせの時間は私にとっても楽しい時間でした。
モーツァルトは胎教にいいと言われるように、生まれたばかりの赤ちゃんは目はあまり見えなくても、耳はよく聞こえます。ですから、まだ寝返りもできないようなころから、一緒にベッドに寝転んで、本を読み聞かせたり、語りかけたりしていました。3か月ぐらいになると、視力もすこしずつ発達してきますので、できるだけ鮮やかな色の絵本を選んで読んでいました。福音館の「0、1、2シリーズ」や せなけいこさんの「いやだいやだの絵本シリーズ」、松谷みよ子さんの「いないいないばあ」絵本といった定番赤ちゃん絵本をよく読んでいました。
特に、「いないいないばあ」は、何度読んでも「キャッキャ」と声をあげて喜ぶので、何度読んだかわかりません。また、せなけいこさんの「ねないこだれだ」は、寝る直前に必ず読んでいたら「これが終わったら寝る」本となり、重宝しました。
長男次男がそれぞれ6歳、4歳前後の1~2年間は一日平均1時間は読んでいたでしょうか。一日30分しか読めない日もあれば、1時間半ぶっ通しで読む日もありました。幼児であっても、その間集中力が途切れることはなく、「もう寝る時間だよ。」と読み聞かせをやめるまでずっと読んでほしいとせがまれたものです。
一日1時間の読み聞かせ時間を確保するために、出かけるときは常に本を何冊もカバンに入れていました。電車移動が多かったので、電車の中では必ず読み聞かせをするのです。男3人兄弟の上に、どの子もヤンチャだったので、外出時は公共マナーを守らせるのが大変でしたが、本さえあれば、どこでも静かに読んだり聞いたりできました。電車の中で全員が読書に耽ってしまい、目的の駅を乗り過ごしてしまったことも1度や2度ではありません。自分で読むようになってからも、子ども達は本を読み始めると時間を忘れてしまうので、登校前に本を開いてしまうと、学校に行くことを忘れて読み続けていたということもありました。(親も子どもが登校していなかったことに気づかず……。)
一日1時間本を読んでいたころは、平均して8冊ぐらい読んでいました。「しょうぼうじどうしゃじぶた」といったお話から、「ももたろう」などの昔話や民話、「じいちゃんのりんご」のような福音館のかがくのともシリーズ、「にっぽん地図絵本」や図鑑など、様々なジャンルのものを意識して読んでいました。その方法は、今日8冊読んだとしたら、次の日はその中から同じ7冊を読み、1冊だけ新しい本を加えるという形で、同じ本を最低でも8日間連続で読むというものでした。このころには、家には最低でも3000冊の絵本がありましたが、どんな本でも嫌がらず喜んで読み聞かせを楽しんでいました。
東大理三に4人のお子さん全員を現役合格させた佐藤ママも、3歳までに1万冊を読んだとか。学研教育総合研究所の調べによると、一般家庭での読書量は1か月平均4冊ほど。一方、東大生の家庭では1か月100冊にものぼります。そして、佐藤ママの3歳までに1万冊を単純に計算すると、1か月に280冊ほど読んでいたことになります。
本の読み聞かせは、親子の関わりを深めるだけでなく、読解力や独力で本を読む力にもつながっていきますから、毎日取り入れたいものです。
4人の子どもを東大と理三に合格させた佐藤ママの本は、こちらから。
プレジデントベイビー『現役東大生の母親60人へのアンケート』(2019年5月)
ベネッセ教育総合研究所『幼児期から小学1年生の家庭教育調査・縦断調査3〜5歳児約1000人』年中時の読み聞かせ(2014年)
学研教育総合研究所「幼児白書Web版」(2021年8月)
図書館利用を習慣化する
ドイツにいる時も、日本に一時帰国した時も、図書館通いを習慣にしていました。本だけでなく、DVDを借りることもできますし、廃本を安く売りだしているときもあります。ドイツにある図書館で漫画「鉄腕アトム」のドイツ語版が廃本となって売り出されていたときは、びっくり。子ども達はまだ幼児でしたが、その場で即全巻購入しました。もちろん、その後子ども達は何度もドイツ語版「鉄腕アトム」を読み、手塚治虫さんを好きになり、日本語版の「ブラックジャック」や「火の鳥」、「ブッダ」なども読破しています。
本が無料で借りられるメリットはもちろんのこと、図書館に行くと、本を読む環境に身を置くことができます。「朱に交われば赤くなる」と言いますが、本が好きな人が周りにいる環境で育てば、子ども達も自然に本好きになっていきます。定期的に図書館を利用し、図書館通いを習慣にすることは、子ども達を本好きにする一つのよい方法だと言えます。
他にも図書館のメリットを簡単にリストにまとめました。
- 無料で借りられる…多くの図書館では一人10冊2週間借りることができます。期限があるので、定期的に図書館に通い本を読む習慣を身につけることができます。
- いろんなジャンルの本に出合える…購入したのに、子どもがあまり読まない本など、少々残念な気がしますが、図書館にはいろんなジャンルの本がそろっています。図書館でいろんな本を読んだ後、子どもが気に入った本を購入するという手もあり。
- 人気の本やおすすめ情報を得ることができる…絵本や児童書のコーナーでは、季節や行事にあった本、定番や最新の本の情報などが紹介されています。読む本に迷ったときなど、おすすめコーナーを参考にするとよいですね。
- イベントがある…読み聞かせ会などのイベントが開かれています。家族以外に読んでもらったり、紙芝居を読んでもらったりなど、いろんな方法で本に親しんでほしいです。
本のサブスクを利用しよう
おすすめは、電子版のサブスク。冒頭でお話ししたように、私もアマゾンのKindleと楽天Koboを愛用しています。電子版のよいところは、なんといっても、送料がかからない、購入したらすぐ読める、持ち運びに便利というところでしょうか。
紙の絵本がいいことは分かっていますが、海外在住者には日本の本が手軽に入手でき、持ち運びに便利な電子版は欠かせません。紙と電子の両方のメリットを生かし、読み分けるとよいでしょう。
まとめ
七田式の創始者、七田真氏は、「親の一番の役目は、子どもを本好きに育てること」だと言われています。本好きにするためには、本を読む環境を整え、幼い時から絵本を読んであげることが一番です。読み聞かせの時間を親子の楽しい時間にしていってください。